憲法ゼロから憲法#75

裁判の公開と法廷でのメモ

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裁判の公開(82条1項)

3つの言葉

定義82条1項の3つの言葉の意味は、次のとおりです。

  • 対審:当事者を対立させて関与させる、審理の場面です。刑事訴訟では公判手続、民事訴訟では口頭弁論手続と呼ばれます。
  • 判決:対審を経たあとに、裁判所が行う最終的な判断です。刑事なら有罪判決・無罪判決、民事なら請求認容判決・請求棄却判決が典型です。
  • 公開:一般の人が自由に傍聴できる状態を認めることです。

注意判例は、32条の「裁判」を、82条の「裁判」と同じ意味としています。

82条|第六章 司法(76〜82条)1項:裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。2項:裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

32条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

公開の趣旨

結論82条1項の趣旨は、裁判を一般に公開して、裁判が公正に行われることを制度として保障することにあります。

ひいては、裁判に対する国民の信頼を確保しようとするものです。

傍聴席に限りがあっても違反しない

結論傍聴券が抽選になっても、座席数に限りがあっても、公開原則には違反しません。

理由82条が命じているのは、一般人の傍聴を認める状態にしておくことだからです。

特定の誰かを、必ず入れることではありません。

注意「誰でも入れる」ことと、「入れろと請求できる」ことは違います。

この区別が、レペタ事件の答えにつながります(第5節)。

公開の例外(82条2項本文)

82条1項では、対審も判決も公開法廷で行うのが原則です。
では、公開しないで行えるのは、どのような場合でしょうか。

非公開の2つの要件

結論次の2つがそろって初めて、対審だけを非公開にできます。

  • 全員一致:裁判官の全員一致が要ります。多数決では足りません。
  • 公序良俗:公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決したことが要ります。

理由非公開は、公開という原則そのものを外す判断だからです。

決め方は全員一致に、理由は公序良俗の虞に、どちらも最も重い形に縛ってあります。

注意「裁判所が非公開にしようと思えばできる」と丸めてはいけません。

例外の例外と判決(82条2項ただし書)

2項本文の要件を満たせば、対審を非公開にできます。
では、それでも非公開にできないのは、どのような場合でしょうか。

82条の三段構造(①原則=対審も判決も公開法廷で行う→②例外=全員一致と公序良俗を害する虞で対審だけ非公開にできる→③例外の例外=一定の事件の対審は常に公開、判決は①のまま動かない)

ただし書の「事件」

結論政治犯罪、出版に関する犯罪、憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常に公開しなければなりません。

この「事件」は、刑事事件だけを指すと解されています。

理由「政治犯罪、出版に関する犯罪」という、刑事の罪名と並べて書かれているからです。

注意民事の訴訟には、ただし書は及びません。

判決は例外なく公開

結論判決は、一切の例外なく、必ず公開されます。

理由2項が非公開にできるとしているのは、対審だけだからです。

判決は、ただし書を待つまでもなく、最初から2項の対象外です。

注意「例外の例外」(ただし書)と「判決は必ず公開」は、別の話です。

混ぜないようにします。

レペタ事件の事案と判断の組み立て

裁判の公開は、一般人が傍聴できる状態を制度として保障するものです。
では、傍聴人が法廷でメモを取ることは、憲法上どう扱われるのでしょうか。

事案

事案アメリカ・ワシントン州の弁護士資格を持つ研究者が、訴えた事件です。

国際交流基金の特別研究員として、日本の証券市場を研究していました。

  • 傍聴:東京地方裁判所の所得税法違反の事件を傍聴し、公判期日ごとに、メモを取る許可を裁判長に求めました。
  • 不許可:裁判長は、許可しませんでした。
  • 記者との違い:同じ裁判長は、司法記者クラブに所属する記者には、メモを許可していました。
  • 提訴:この扱いを不服として、国家賠償を求めました。

判断の4つの部分

結論判決の判断は、次の4つに分かれます。

  • ①82条の答え:保障の否定です(第5節)。
  • ②知る権利の派生:21条1項からの根拠です(第6節)。
  • ③筆記行為の尊重:法廷でのメモへの当てはめです(第6節)。
  • ④制限の可否:厳格な基準が要るかです(第7節)。

82条からの答え(保障の否定)

レペタ事件の判決は、まず82条1項の趣旨を確認しています。
では、82条から、傍聴やメモを取ることの権利は出てくるのでしょうか。

保障の否定

結論82条1項は、次の2つを認めていません。

  • 傍聴:各人が裁判所に対して、傍聴することを権利として要求できることまでは認めていません。
  • メモ:傍聴人に対して、法廷においてメモを取ることを権利として保障してはいません。

理由82条が縛っているのは、裁判所という組織の側だからです。

主語は「裁判の対審及び判決」であって、傍聴人ではありません。

注意82条の入口からは、メモを取る自由は出てきません。

第1節の「誰でも入れる」と「入れろと請求できる」の違いが、そのまま答えになっています。

レペタ事件最高裁判所大法廷判決保障の否定(八十二条の答え)憲法八二条一項の規定は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。……右規定は、各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものでないことはもとより、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保障しているものでない

21条1項からの答え(知る権利の派生と筆記行為の尊重)

82条からは、メモを取る自由は出てきません。
では、21条1項という別の入口からは、どう答えられるのでしょうか。

② 知る権利の派生

結論さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する自由は、21条1項から導かれます。

判決は、21条1項の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるとしました。

レペタ事件最高裁判所大法廷判決知る権利の派生……このような情報等に接し、これを摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるところである

③ 筆記行為の尊重

結論メモを取ることは、「保障」ではなく「尊重」の対象です。

  • 筆記行為:情報等に接し、摂取することを補助するものとしてなされる限り、21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきです。
  • 法廷でのメモ:見聞する裁判を認識、記憶するためになされる限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならないとされました。

理由メモを取る行為は、情報を摂取することを補助する行為だからです。

注意判決は、言葉を選んでおり、「保障」とは言っていません。

①の「保障していない」と③の「尊重に値する」は正反対ではなく、入口が違うための答えの違いです。

  • 82条から見ると:傍聴もメモも、権利ではありません。
  • 21条から見ると:メモは、尊重に値します。
  • 押さえる点:同じ一つの行為でも、どの条文から見るかで守られ方の強さが変わります。

レペタ事件最高裁判所大法廷判決筆記行為の尊重(法廷でのメモ)筆記行為は、……さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法二一条一項の規定の精神に照らして尊重されるべきである傍聴人が法廷においてメモを取ることは、その見聞する裁判を認識、記憶するためになされるものである限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならないものというべきである

21条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)1項:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

制限の可否(厳格な基準は不要)

メモを取る自由は、21条1項の精神に照らして尊重に値します。
では、その制限や禁止には、厳格な基準が要るのでしょうか。

厳格な基準は不要

結論筆記行為の自由の制限や禁止に、厳格な基準は要求されません。

理由筆記行為の自由は、21条1項が直接保障する表現の自由そのものとは異なるからです。

21条から直接出てくる権利ではなく、あくまで派生原理から来る自由です。

レペタ事件最高裁判所大法廷判決厳格な基準は不要右の筆記行為の自由は、憲法二一条一項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、……厳格な基準が要求されるものではない

実際の扱い(3段)

結論法廷でのメモは、次の3段で扱われます。

  • 妨げる場合:メモを取る行為がいささかでも公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるなら、制限や禁止は当然です。
  • 原則自由:メモが訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないので、特段の事情のない限り、傍聴人の自由に任せるべきです。
  • 許可制:あらかじめ一般的に禁止し、状況に応じて個別に許可する取扱いも、裁判長の裁量の範囲内として許されます。

注意許可制が許されるのは、傍聴人がメモを取ることを故なく妨げることにならない限りです。

レペタ事件最高裁判所大法廷判決原則自由と裁量の範囲内そのメモを取る行為がいささかでも法廷における公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げる場合には、それが制限又は禁止されるべきことは当然である傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは、通常はあり得ないのであつて、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべき傍聴人がメモを取ることをあらかじめ一般的に禁止し、状況に応じて個別的にこれを許可するという取扱いも、……裁判長の裁量の範囲内の措置として許容される

レペタ事件の結論と、判決が動かしたもの

一般的に禁止して個別に許可する取扱いも、裁判長の裁量の範囲内とされました。
では、原告の請求は、結局どうなったのでしょうか。

判決の結論

結論上告棄却で、原告は敗訴しました。

この事件で問題になった許可制自体は、違憲とはされていません。

理由許可制そのものが、裁判長の裁量の範囲内とされたからです(第7節)。

レペタ事件最高裁判所大法廷判決主文本件上告を棄却する。

判決が動かしたもの

結論③で「尊重に値する」と述べたことが、その後の実務に影響を与えました。

判決のあと、法廷でのメモの許可制は、実務上ほとんど行われなくなった、と一般に知られています。

注意「メモの自由が人権として認められた」という要約は、正確ではありません。

認められたのは、あくまで尊重に値するという、中間の地位です。

判決の結論(敗訴)と、判決が動かしたもの(実務)は、分けて押さえます。

北海タイムス事件(法廷での写真撮影)

法廷でのメモは、特段の事情のない限り、傍聴人の自由に任せるべきとされました。
では、同じ法廷での記録行為でも、写真撮影はどう扱われるのでしょうか。

北海タイムス事件

定義特別抗告とは、憲法違反などを理由に、最高裁判所に不服を申し立てる手続です。

事案新聞社の写真班員が、法廷で被告人を撮影しました。

  • 告知:裁判所は、あらかじめ、撮影は公判が始まるまでなら構わない、始まったら許さない、と告知していました。
  • 撮影:裁判長の「写真は駄目です」という制止も無視して、裁判所の許可なく撮影しました。
  • 制裁:法廷等の秩序維持に関する法律による制裁を受け、特別抗告をしました。

結論写真撮影を裁判所の許可にかからせても、憲法に違反しません。

大法廷の決定は、刑事訴訟規則215条が写真撮影の許可等を裁判所の裁量に委ねていることを、憲法に違反しないとしました。

理由公判廷での写真の撮影等は、行われる時、場所等によっては、好ましくない結果を生ずる恐れがあるからです。

北海タイムス事件最高裁判所大法廷決定写真撮影の許可制公判廷における写真の撮影等は、その行われる時、場所等のいかんによつては、前記のような好ましくない結果を生ずる恐れがあるので、刑事訴訟規則二一五条は写真撮影の許可等を裁判所の裁量に委ね、その許可に従わないかぎりこれらの行為をすることができないことを明らかにしたのであつて、右規則は憲法に違反するものではない。

メモと写真撮影の違い

結論同じ法廷で記録する行為でも、メモは原則自由、写真撮影は許可制のままです。

理由撮影は、法廷の状況そのものを変えてしまうからです。

フラッシュ、シャッター音、機材を構える動作で、訴訟関係人に現実に影響が生じます。

具体例メモは、静かにペンを動かすだけです。

レペタ事件の「妨げるに至ることは通常はあり得ない」は、この違いに表れています。

注意線は、訴訟の運営を妨げるかどうかで引かれています。

裁判員制度(構成と三つの関与)

ここまでは、法廷を国民に開く仕組みを見てきました。
では、国民が裁判そのものに加わる裁判員制度は、どのような仕組みでしょうか。

構成

定義裁判員制度は、一定の重い罪の事件について、国民が裁判に参加する制度です。

平成21年から実施されています。

結論裁判体は、次のように構成されます。

  • 裁判官:職業裁判官3名です。
  • 裁判員:有権者の中から、くじで選ばれた6名です。
  • 対象:死刑・無期拘禁刑にあたる罪など、重い罪の事件です。

三つの関与

結論裁判員が関与するのは、事実の認定・法令の適用・刑の量定の3つです。

法令の解釈と訴訟手続に関する判断は、裁判官だけが行います。

注意「事実認定と量刑だけ」ではありません。

法令の適用も含まれます。

適用と解釈の違い

定義2つの言葉の違いは、次のとおりです。

  • 適用:法令を事実に当てはめることです。
  • 解釈:法令の意味そのものを確定することです。

具体例正当防衛で考えると、次のように分かれます。

  • 適用:「正当防衛にあたるか」を事実に当てはめて判断するのは、裁判員も加わります。
  • 解釈:「正当防衛の急迫性とは、そもそもどういう意味か」を決めるのは、裁判官だけです。
  • 急迫性:侵害が今まさに迫っている、という刑法の要件です。

注意適用と解釈を取り違えると、短答で確実に引っかかります。

なぜそこで線を引いたか

結論意味を決めるところは裁判官に残し、当てはめに市民の目を入れる、という線引きです。

理由2つの側から説明できます。

  • 解釈の側:法令の意味を確定させると、その意味は同じ条文を使う場面すべてに及びます。事件ごとに意味が揺れては、法に基づく裁判になりません。だから、法の専門家である裁判官を、裁判の基本的な担い手として残します。
  • 当てはめの側:目の前の事実がその意味に当たるかは、社会の常識に照らして考える場面が多くあります。だからこそ、くじで選ばれた市民が加わる意味があります。

注意裁判官だけが解釈を担うという位置づけは、裁判員制度合憲判決自身が述べています(第12節)。

陪審制・参審制との比較

裁判員は、裁判官と一緒に3つの判断を行います。
では、この制度は、陪審制や参審制とどう違うのでしょうか。

陪審制・参審制・裁判員制度の対比(陪審制=市民だけで事実認定・法の適用は裁判官/参審制=市民と裁判官が一緒に事実認定・法令の適用・量刑を判断/裁判員制度=くじで選ばれる点は陪審制に近く、三つの判断を行う点は参審制と共通する日本独特の制度)

我が国独特の制度

結論判決は、裁判員制度を、陪審制に類似し、参審制とも共通する、我が国独特の国民の司法参加の制度としています。

  • 陪審制に似る点:裁判員は事件ごとにくじで選ばれ、裁判官のような身分もありません。
  • 参審制と共通する点:裁判官と一緒に、事実の認定・法令の適用・刑の量定を行います。

注意参審制でも、市民は法令の適用や量刑に関与します。

そのため、「法令の適用や量刑まで市民が関与する」ことは、参審制との違いではありません。

裁判員制度の合憲性

裁判員制度では、裁判官と裁判員が一緒に評決をします。
では、裁判官が裁判員の判断に拘束されることは、憲法に反しないのでしょうか。

退けられた主張

結論弁護人は複数の憲法違反を主張しましたが、最高裁はどれも退けました。

具体例裁判を受ける権利や公平な裁判所、特別裁判所の禁止、意に反する苦役の禁止です。

裁判員の権限

定義評決とは、評議のあと、裁判官と裁判員が一緒に票を投じて、結論を決めることです。

結論判決は、裁判員の権限を、次のように確認しています。

  • 審理:裁判官と共に、公判廷で審理に臨みます。
  • 評議と評決:事実認定、法令の適用及び有罪の場合の刑の量定について、意見を述べ、評決を行います。

裁判員制度合憲判決最高裁判所大法廷判決三つの関与の確認裁判員の権限は,裁判官と共に公判廷で審理に臨み,評議において事実認定,法令の適用及び有罪の場合の刑の量定について意見を述べ,評決を行うことにある。

76条3項との関係

定義76条3項は、裁判官の職権の独立を保障します。

立法権や行政権はもちろん、裁判所の内部からの指示も受けずに、裁判官が一人ひとり独立して判断するという意味です。

結論裁判員制度は、76条3項の趣旨に反せず、合憲です(上告棄却)。

理由判決の理由は、次の2つです。

  • 合憲な法律への拘束:76条3項によれば、裁判官は憲法及び法律に拘束されます。裁判員法は憲法に適合するように作られた法律です。その評決制度に従うのは、憲法に適合する法律に拘束される結果です。
  • 裁判官が担い手:法令の解釈に係る判断や訴訟手続に関する判断を裁判官の権限にするなど、裁判官を裁判の基本的な担い手として、法に基づく公正中立な裁判の実現が図られています。

注意合憲とされたのは、いまある裁判員制度の形です。

市民が法令の解釈まで担う制度が合憲かどうかは、この判決からは出てきません。

裁判員制度合憲判決最高裁判所大法廷判決七十六条三項との関係憲法76条3項によれば,裁判官は憲法及び法律に拘束される。……法令の解釈に係る判断や訴訟手続に関する判断を裁判官の権限にするなど,裁判官を裁判の基本的な担い手として,法に基づく公正中立な裁判の実現が図られており,こうした点からも,裁判員制度は,同項の趣旨に反するものではない。

76条|第六章 司法(76〜82条)3項:すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

司法権への民主的コントロール

裁判員制度は、国民が司法に加わる仕組みです。
では、司法権には、ほかにどのような民主的コントロールがかかっているのでしょうか。

国民の側から

結論国民の側から司法権にかかる手綱は、次の4つです。

  • 裁判員制度:国民が裁判に加わります。
  • 国民審査:最高裁判所の裁判官を、主権者が人事の側から審査します(79条2項)。
  • 裁判の公開:誰でも法廷を見に行けます(82条)。
  • 国民からの批判:批判が禁じられない自由であることが、そのまま手綱になります(21条1項)。

注意規則と法律の優劣は、裁判官その人ではなく、最高裁判所が作るルールの側にかかる手綱です。

規則と法律がぶつかれば、民主的な基盤の薄い規則が譲ります。

79条|第六章 司法(76〜82条)2項:最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

他の国家機関から

結論裁判官その人を外から縛れるのは、弾劾裁判と、内閣による指名・任命くらいしかありません。

理由司法権の独立を確保するためです。

裁判の公開の位置

結論82条の公開は、いちばん素朴で、いちばん常時作動している手綱です。

理由国民審査は10年に一度で、弾劾はめったに起きませんが、法廷は毎日開いています。

誰でも見に行ける状態そのものが、裁判所を公正に保つ圧力になっています。

注意これが、「制度として保障し、国民の信頼を確保する」という82条の趣旨の実質です。

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